建設業は産業別死亡者数の割合が高い

建設業における死亡災害は全産業の30%以上を占めており、最も死亡災害の多い業種となっています。建設業の労働者数の比率は全産業の約10%であることを考慮すると、死亡災害の比率は、異常に高い数値といえます。

毎年、墜落・転落が40%を占めている

建設業全体を年別でみると、労働災害死亡者数は年々減少傾向にあるものの、墜落による死亡災害は、毎年40%前後と高い比率を占めています。

後を絶たない昇降柱時の墜落・落下災害

上記のように、死亡災害最多となっている建設業界において、取り分け墜落災害は多くを占めており、私が長年携わらせて頂いている電設業界でも昇降柱時の墜落による死亡事故、そして墜落による重症事故は後を絶ちません。

電気工事会社を創業してから約40年、社員20名を抱え建物内の電気配線工事、中部電力様より依頼を受ける引込み工事等、現場で様々な経験を積み、毎年昇降柱訓練にも立ち会わせて頂く中で見えてきた事がありました。

複雑でセンスが必要 = 教える事が難しい

指導する立場から言えることは、昇降柱時に弱電線や看板などの障害物をかわす際「フックの取り付け位置の見極めなどが非常に複雑」で「センスが必要」な為、伝えるのに(センスを磨くのに)時間がかかる=すぐに教えることが難しいという事です。

この「複雑でセンスが必要」という部分が、昇降柱時の墜落・落下災害の原因ではないか?と考え、何度もヒヤッとするような状況を目撃するにつけ、「誰もが安全に昇降柱できる安全帯」について思い巡らすようになりました。

誰もが簡単に昇降柱できるものを求めて

現行の安全帯は、電柱からロープが一旦離れた状態で補助フックをかける場所を見極めたり、本胴綱を打ち替える必要があるため片手動作となり、非常に不安定な中での昇降柱となっております。

そこで、電柱からロープが離れない状態で、両手で障害物をかわす事ができれば安心して打ち替えをしながら昇降柱できるのではないかと。つまり、U字綱を二本にすることで、どちらか一本が必ず電柱にがかかっている状態を保持することができる「誰もが安全に昇降柱できる安全帯」になるのではと考えるに至ったのです。